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睡眠薬・抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)と認知症

◎要約:『高齢期のベンゾジアゼピン系薬の使用は全体としては認知症発症に影響を与えないかもしれない』






今回は、高齢期にベンゾジアゼピン系の睡眠薬や抗不安薬を使用したときに、認知症のリスクを調べた研究をご紹介します。


ベンゾジアゼピンの使用と認知症の長期リスク

Benzodiazepine use in relation to long-term dementia risk and imaging markers of neurodegeneration: a population-based study


オランダにおける大規模なデータ(Rotterdam Study)を元にしており、認知的に健常な5,443人(平均70.6歳、57.4%女性)を対象としています。


薬歴に関するデータからベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬の処方と、認知症リスクとの関連(画像検査による脳の構造的変化を含む)を調べています。


平均11.2年の経過観察の結果として、以下の内容が示されました。


・全体のうち、2,697人(49.5%)がどこかの時点でベンゾジアゼピン系薬を使用しており、それらのうち46.8%が抗不安薬、19.7%が睡眠薬、33.5%が両方を服薬していました。


・726人(13.3%)が認知症を発症しましたが、全体としてベンゾジアゼピン系薬の使用は、(累積使用量も含めて)認知症の発症に影響を与えていませんでした(ハザード比:1.06倍)。


・抗不安薬に限って言えば、認知症の発症に軽度の関連を認めました(ハザード比:1.17倍、高用量で1.33倍)。


・画像検査では、ベンゾジアゼピン系の使用と脳体積の減少(海馬、扁桃体、視床)が関連を示していました。




全体としての影響は否定的でしたが、高用量の抗不安薬使用などについて、(その他の副作用も含めて)引き続いて注意が必要であると思われました。

 
 
 

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