アルコールの乱用が肝障害や認知機能低下等と関連することは以前から指摘されてきました。
今回は、1日に1~2杯の飲酒習慣でも脳の構造的変化を来すのか確認した研究をご紹介します。
UKバイオバンクにおけるアルコール消費量と脳灰白質・白質の体積変化
イギリスの大規模データ(UKバイオバンク)を元とする研究で、40~69歳の36,678人が研究の対象となりました。
アルコールの消費量と脳画像(MRI)から分かる灰白質・白質の体積との関連性を調べました。
結果として、以下のことが示されました。
①アルコールの消費量と脳の灰白質・白質には逆相関(片方が多いともう片方が小さいという関係)がありました。
②推奨以内のアルコール量(例:1日1~2杯程度のビール)でも脳の体積減少と関連していました。
つまり、“(今まで注意喚起が行われていなかった)比較的少量のアルコール摂取でも脳の体積減少が起こる可能性がある”と言えそうです。
今回の研究は1回の脳画像と思い出しによるアルコール消費量との関連を示したもので、これによりアルコール消費量と脳の構造的変化との関連を結論づけることはできませんが、今まで健康に影響がないと考えられていたアルコール量に関しても再考を要する可能性を感じました。
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