良くテレビで「この病気を予防するには何々を食べると良い」という話を聞きます。権威のある先生方が説明するのを聞くとなるほどと思って、次の日買いに行くと、みんな考えることが同じなのか、すでに売り切れだったりします。
でも、今回は売り切れる心配はなさそうです。
Neurologyという海外の医学雑誌で発表された研究ですが、 内容が「Physical Fitness Tied to a Nearly 90% Reduction in Dementia Risk(身体的運動が認知症発症の危険性を90%低下させた)」というもので、かなり明らかな因果関係の指摘と言えます。
もう少し詳しくご紹介すると、中年以降の女性で有酸素運動をしっかり行ったグループとそうではないグループを、44年間に渡り追跡調査したところ、認知症のリスクが88%低下していたというのです。また、仮に認知症を発症した場合でも、運動をしていた場合には11年間の発症の遅れがあったとのことです。
うーん、これだけはっきりした違いが出るなら、ちょっと運動してみようかという気持ちが起こりそうな感じがします。しかし、結果が出るのが数十年後というのが、つらいかもしれません。目の前の目標には比較的頑張ることができても、遠くの目標を見据えるのは苦手という人がほとんどだと思います。これだけ、大きな差が客観的に示されていて、認知症になるのは絶対に嫌という場合でも、やっぱり「さあ今日からがんがん運動だ!」という風にはならないものですよね?
結局、他の人がしないような難しい努力をすれば、それだけご褒美があるということなのかもしれません。私はもうしばらく、食べるだけで100%認知症リスクを低下させる食品の登場を待とうと思います。
※なお、ご紹介の論文には運動習慣が自己申告であるなどの限界についても指摘されており、必ずしもすべての方にこの結果が当てはまるわけではないことについても言及されています。