うつ病とそれに近い状態との境界をテーマにした時、以前に読んだある論文が示唆的だったのでご紹介します。
Geriatric Psychiatryという医学誌で、2006年に発表された内容なので少し古くなります。
まずタイトルは、
“Predicting the onset of major depressive disorder and dysthymia in older adults with subthreshold depression: a community based study”
(うつ病というほど重くはない気分の落ち込みが、本当のうつ病や気分変調症になるのを予測する:ある地域単位での研究)※たどたどしい訳ですみません
結果はかなり明確でした。
食事と睡眠、……これらがうつ病への移行を予測する。
もう少し詳しく述べると、……軽度の気分の落ち込みのある人々のうち、食事と睡眠の問題を抱えてないグループでは「うつ病」への移行が9%であったのに対して、その二つの領域で問題を抱えている場合には57%であった。
タイトルにもある通り、高齢の方を対象とした研究なので、これをそのまま一般人口の予測にあてはまるとするのは乱暴すぎるとは思います。しかし、結果を読んで思うのは、すごくシンプルで大きな差が表れており、一般的感覚とも一致するということです。常識的なことかもしれませんが、やはり人間にとって基礎的な部分である食事と睡眠は、うつ病への移行を予測する上でも鍵を握っているのです。
うつ症状が出現したときには、生理的な部分にしっかりと対処することが重要であることを改めて確認する内容でした。