マインドフルネスが流行ってます。Googleのマインドフルネス本もすごく人気のようですし、心理学関係のことを調べたり、研修を受けたりすると何かとマインドフルがどうの……と見たり聞いたりするのです。
そんなに良いんでしょうか?
マインドフルネス……。
マインドフルネス(mindfulness)とは本来「注意深さ、留意」(ジーニアス英語大辞典)を表す言葉です。心理学領域では、仏教哲学に起源をもつ、今この瞬間の自身の思考や感情に気づき、それらを価値判断なしにそのまま受け入れるアプローチを意味します。そして、その中の重要なテクニックの一つとして瞑想(メディテーション)が含まれます。(参考:Kaplan and Sadock's Synopsis of Psychiatry 11th Edition)
今回は行動活性化療法とマインドフルネス瞑想を組み合わせた療法(behavioral activation with mindfulness)が軽症のうつにどれくらい有効だったのかを調べた研究(Annals of Family Medicineより)をご紹介します。
結果としては瞑想+行動活性化療法の方が、通常の外来クリニックにおける治療(制限なしの受診可能)よりもかなり有効でした。
具体的には高得点であるほどうつの程度が著しいことを示す尺度(ベック抑うつ尺度)において得点の減少を比べた結果で示されていました。瞑想+行動活性化で5.38点の減少、クリニック通院で1.78点の減少でした。減少の程度が3.57違うわけです。軽度の抑うつの範囲でこの差は大きい(主観的な感じ方の差を伴う結果)と言えると思います。
筆頭著者(主にこの論文を書いた人)もこの結果がそのまますべてのうつ病治療にあてはまるわけではないと断ってはいますが、他の多くの研究結果から考えても、軽度のうつにおいて薬物療法以外の心理学的療法が大きな選択肢の一つになるのは間違いなさそうです。