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自殺予防のために


先日、アメリカのシカゴにおいて6月9日~13日、アメリカ医師会(American Medical Association:以下AMA)の年次総会が開かれました。

そこで自殺予防に関する議題が話し合われ、6月15日に声明が発表されました。タイトルは以下のようになっています。

救命のため自殺の危険性にもっと気づきを

銃社会であるアメリカの現実をを反映して、特に手段として銃へのアクセスにも多く言及した内容でしたが、冒頭でもっとも強調されていたのは援助者への教育の重要性でした。

CDC(米国疾病予防管理センター)のデータによると、現在の自殺者数は1999年から30%の増加を示しているとのことです。

また、別のサイトで示されていたのですが、かなり大きな割合の自殺者が、自殺から遡って90日以内に医療者に会っていると言われています。

こうした現状を改善するため、今回の声明は、もっと多くの医療者や援助者が自殺に関するスクリーニング(危険性の察知)やカウンセリングを行えるよう効果的な教育を行う必要があるという趣旨でなされました。

実際、自殺に至るまでに心療内科や精神科に繋がる方は稀で、相談や助けを求める発信があったとしても、身近なな対人関係の中で対処されるか、心理的相談を行うことに慣れていない援助者への接触にとどまることがほとんどだと思われます。

一つにはまだまだ心療内科・精神科は敷居が高いということがあるでしょうし、本当に追い詰められたとき、専門家への相談を思いつき、実行に移せる方は本当に稀である気がします。

だからこそ、広い意味での援助者は、AMAが提言するようなカウンセリングをするというところまで行かなくても、危険性を察知して橋渡しや紹介をするだけの知識を持っている必要があります。

そして、私たち精神疾患や心理的問題への専門家は、自殺問題全般に関して相談されるに値する存在である必要があるとは思うのですが、この点に関して不安が残ります。

精神科医の知識は、精神医学で対処可能な領域に偏るので、全ての自殺の原因に対処できるわけではありません。今までの経験で、自殺防止のための有効な手段を提示できなかったことも多かったように思われます。

すぐに準備できるわけはありませんが、今後はもっと社会資源や実質的な生活困難への対応も含めた多様な救済へのアクセスを確保するようにしたいと考えています。

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