最近セルフレギュレーション(自己調整)の研究を見ることが増えたような気がします。直接にはタイトルになっていなくても、子どもへの心理的介入は何らかのかたちでセルフレギュレーションをテーマにしたものが多いです。
今回は様々なセルフレギュレーションについてのまとめ(メタアナリシス)がJAMA(米国医師会雑誌)の小児科版に載っていたのでご紹介します。
児童思春期におけるセルフレギュレーション(自己調整)に関連した集団的介入の有効性(系統的評価と全体的分析)
JAMA Pediatr. 2018; 172(6): 556-575.
今回の論文の目的は多くのセルフレギュレーションに関する論文を厳密に評価し、まとめの分析を行うことによって、児童思春期におけるセルフレギュレーションを改善するための介入が有効なのかを評価することです。
結果・結論をまとめると以下のようになります。
①持続的な効果のあるものとして取り上げられているのは、授業に関連した介入(76%)、マインドフルネスとヨガによる介入(50%)、家族を基礎としたプログラム(56%)、運動による介入(67%)、社会と個人的技能に関する介入(67%)であった。※( )の中は、有効であると結果を出した研究の割合。
②セルフレギュレーションに関連し、介入を行った多くのグループでは様々な領域(例として学問的達成、社会技能、精神的健康、素行上の問題、行為障害、停学、物質依存)で、長期にわたる改善を認めた。
③全体としては50種類の介入方法のうち、33種類(66%)が有効であり、多くの方法が児童思春期のセルフレギュレーションに有効であることが分かった。
この研究では、マインドフルネスやヨガのインストラクターのような特別に追加する資源が必要ないことや、児童思春期の子どもたちが多くの時間を学校で過ごすことを考えると、授業に関連した介入が有利と思われる点を指摘しています。
しかし、同じ条件で比較したものではないので、結局どの介入法が最も優れているかについては結論を出していません。
いずれにせよ、この年代の子どもたちにとって、セルフレギュレーションは他の多くの領域に影響を及ぼす鍵となるテーマであり、多くの介入が行う意義のあることを示す内容でした。