最近取り上げられることが多い方法であるマインドフルネスに関する本をご紹介します。
まず、監修者である石川善樹氏が序文で述べているマインドフルネスの説明を抜粋すると
「マインドフルネスは、マサチューセッツ大学医学大学院教授のジョン・カバット・ジンが開発した、禅から思想などの宗教色を分離した『マインドフルネス低減法』という科学的な研究によるメソッドがベースになっている。いわば、テクニックに近い。」
また、本文に述べられた著者の「マインドフルネス」の定義は次のようになっています。
「マインドフルネスとは、自分の体や頭や心のなか、さらに身の周りに起きていることに意識を完全に向けること。批判や判断の加わらない『気づき』」
要するに禅で行われる修行の一部を心のトレーニング法としてかたちを整えたものと言えそうです。
まず原題である “HOW TO TRAIN A WILD ELEPHANT(野生のゾウを飼いならす法)”にこめられた意味を確認したいと思います。
本文中に次のような一文があります。
「釈迦は、『心を育てるのは、森に住む野生のゾウを飼いならすようなものだ』と言っています。」
このように、本来の題名は、「この本には野生のゾウ=自分の心を育てるための方法が書いてあります」という本の内容についての紹介となっています。
よって、中身は心のトレーニング方法で占められており、例として
WEEK1 「利き手でないほうの手」を使う
WEEK2 痕跡を残さないように暮らす
WEEK3 「つなぎ言葉」に注意する
WEEK4 自分の手に感謝する
WEEK5 食べるときは「食べること」に専念する
…………
WEEK53 場所やモノを今よりよくして去る
と53週分のトレーニングが示されています。そして、それぞれのWEEKは「どんな練習?」、「取り組むコツ」、「この練習による気づき」、「深い教訓」、「自分を変える言葉」というパートで構成されており、トレーニングに関する理解を段階的にすすめられるようになっています。
上記のように宗教色をなくした科学的なテクニックという紹介をされるマインドフルネスですが、どうしても基礎には宗教的色彩をもっており、私のように宗教になじみのない人間にとってその辺りに抵抗を感じてしまう部分があります。
しかし、このように具体的にトレーニング方法を多数示されると、合うものだけでもやってみようか?という気になります。実際にやってみると、過去や未来ではなく「今、ここ」に意識を置くことの重要性を感じられる体験ができたようにも感じます。
実際にマインドフルネスを日常生活の中でやってみようかと思われる方にとっては、良い指導書となり得る本だと思いました。