発達障害や学習障害などが考えられる「気になる」子供たちの問題行動などについて具体的な解決策をズバッとしめすことに重点をおいた本です。
多様なケースに対して様々な分野の「達人」が登場し、ズバッと方法を示してくれます。
前書きの部分を抜粋します。
「……学校現場で、苦しみ悩む子どもたちのために日々全力で取り組んでおられる、多くの先生方や保護者の皆さんに出会うたび私が感じること、それは多忙ゆえに皆さんが『疲れ切っている』ということです。……(中略)そうですよね、心身が疲れていたら、専門用語や技法を学び咀嚼して自分のものにするなんて、とてもできることではありませんよね。そこで本書では、通常学級にいる様々な困難や支援ニーズを持つ子どもを応援する方法について、多面的な視点を持たせながらも、具体的、実践的で、なるべく取り組みやすい方法をご提案していくことを何より大切にしました」
「ズバッ」とのところは、「具体的」、「実践的」、「取り組みやすい」によって実現されるスピードを反映したタイトルと思われます。
正攻法の取り組みが挙げられており、必ずしもすぐに結果が出るものばかりではないので、そこらへんはいつも「スバッ」といくか分からない点もあります。
しかし、このようにケースと解決策が明確な形で結びつけられて提示されていると、もっと知識や技法を実践で十分生かしてみようという気持ちになります。
ケースファイルとして示されている目次を抜粋させてください。
ケースファイル1 すぐにあきらめてしまう子
ケースファイル2 パニックになりやすい子
ケースファイル3 「うそ」をつく子
ケースファイル4 落ち着きがない子
ケースファイル5 乱暴な子
ケースファイル6 勝ち負けにこだわる子
ケースファイル7 おしゃべりがとまらない子
ケースファイル8 字を書くのが嫌いな子
……
文章の編成も工夫されていて、一ケースずつ「どうやって解決するんだろう?」などと少しわくわくしながら読むことができます。
体系だった長編より、やや断片的だけどケースごとの解決策が知りたい方にはとてもお勧めの本です。