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もりさわメンタルクリニック

精神疾患は異質なものからできている


今日は精神医学の根本的な部分に影響する脳構造の多型性(性質の多様さ)についての論文です。

標準的モデルを用いた統合失調症と双極性障害の様々な要素よりなる表現型の構造的分析

結果をごく大雑把に言うと、MRIで「統合失調症」や「双極性障害」の脳の構造を調べた結果、臨床的な特徴の単位では共通する特徴を指摘することができたけれども、疾患単位としては共通する構造はごくわずかであり、疾患で標準となるモデルを想定することに意味はないかもしれない、という結果でした。

「現在の精神疾患の概念は単一の病気を示していない」

これはずっと以前から精神医学が抱えている問題の一つで、ずっと意識されてきました。

これは、診断学の根本を不安定にさせる弱点なので、精神科医の頭の中でどうしても引っかかる問題の一つと言えます。

上手い例えが思い浮かばず恐縮ですが、「統合失調症」という診断は、まるでウイルス性上気道炎も細菌性喉頭蓋炎も副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎も、全部ひっくるめて共通の症状を呈する段階で「風邪」と呼んでしまうような乱暴なことをしている可能性があります。

もし、「統合失調症」を単一の病気の単位として、特異的な性質と原因を持つものとして単離できるならば、上記の様々な「風邪」が異なる治療方針をとるように、「統合失調症」にもそれぞれのタイプに多くの治療方針があり得るはずです。

そういった意味で、上記のような基礎的な研究は、精神医学の基礎を固め、共通の特徴から正しい治療方針を導くために大切な道程の手がかりを示しているのかもしれません。

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