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もりさわメンタルクリニック

精神病症状と自殺との関連


最近、妄想や幻覚などの精神病症状が決して本来精神病として扱われている統合失調症等のみで生じるものではないこと、診断のついていない一般成人においても5~8%程度経験するものであること等が注目されてきました。

特に非精神病性の状態で妄想や幻覚の体験が生じたときに、後にどのようなことを注意すればよいのか研究がすすめられてきました。

そして、多くの研究で、精神病症状の体験後に自殺に関連する思考や行動が増加することが指摘されました。今回ご紹介するのは、このような研究の総括といえるメタアナリシス(複数の研究結果をまとめ、より信頼性の高い知見を導こうとする調査)です。

Association of Psychotic Experiences With Subsequent Risk of Suicidal Ideation, Suicide Attempts, and Suicide Deaths

精神病症状の体験と後の希死念慮、自殺企図、自殺の関連

信頼性の高い研究が選択され、23か国の80000人以上のデータについて検討されました。

結果、精神病症状の体験が後の自殺などの行動に大きく影響を与えていることが分かりました。このような体験をした後では、そうでない場合に比べて、自殺を考えることは2倍、自殺企図は3倍、自殺は4倍生ずる確率が高まっていました。

そして、その確率の増加は他の精神状態等の要素で説明されるよりも大きく、妄想や幻覚などの精神病症状が独立して大きな影響を与えている可能性が示されました。

まずは、精神病的な症状が通常認知されているよりもずっと広範囲に発生するものであることを知る必要があり、さらに一度そのような症状が治まっても、その後の精神状態や行動に注意するべきであることが確認できる内容でした。

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