最近、不登校に関して書かれた本が多く出版されています。不登校専門の相談施設も増えており、その主催者の方が書かれたものもあります。
そのような専門的なカウンセリングを行っている方が書かれた本も非常に参考になるのですが、今回ご紹介するのは漫画家である母の視点で書かれたエッセイ漫画です。
昨日までなんの問題もなく学校に通っていた(少なくともそのように見えていた)中学生の娘さんが、ある朝を境目に「お腹が痛い」と言って、学校に行かなくなった……という始まりから、「今日は行けるはず」という期待を持ちながら、毎日それが裏切られていく過程が描かれます。
毎日、学校に連絡をして、病院に行っても原因が分からず、怒っても、なだめても、どうしても学校に行けない娘さんに対するいらだちが高まっていきます。呼び出されて学校に行っても、圧迫面接のような扱いを受け、プレッシャーだけが残ってしまう。
どこに行っても、だれに聞いても実りのある相談にならずに時だけが経過して、親子関係はどんどん悪化していく……。
この本ではこのような上手くいかない時の、どうにもならない気持ちがしっかり描かれています。
他者を責めないようにしながらも、どうしても納得できない気持ちが滲み出ています。
最終的に完全なハッピーエンドとはなっていない点も現在不登校の問題で悩まれている親御さんや当事者の共感を得られるような気がします。
特に印象に残ったのは、まだ不登校が始まって初期の段階で、もっと娘さんの話を聞く対応をしてくれる人がいたなら……という述懐でした。