抗精神病薬は統合失調症の妄想・幻覚や強い不眠など様々な症状に対して使われますが、用量を多くしたときの体重増加が知られています。
特に皮下脂肪が増加することで耐糖能が低下し、血糖のコントロールが悪化する傾向がみられることがあります。気分安定の効果もあり、落ち着かない気持ちを鎮めるためにも良く使われるオランザピン、クエチアピンという薬は、糖尿病のある方には使用できないことになっています。
今回はこの点をクリアできそうな新しい薬剤についてのニュースをご紹介します。
アルケルメス(製薬会社)がALKS3831という抗精神病薬が6か月の第2相試験を終了したと発表した。
ALKS3831というのはこの薬につけられた発売までの仮称で、もともと発売され広く使われているオランザピンと他の薬剤(サミドルファン)を組み合わせた薬です。
オランザピンは幻覚・妄想、気分の不安定さや強い不眠等の幅広い用途のある薬剤ですが、上記のように体重増加や糖尿への影響が懸念される薬剤です。
この点を改善し、オランザピンと同等の効果を持つように設計されたのが今回話題になっているALKS3831です。
今回の試験で、もともと意図されたようにオランザピンとほぼ同等の効果を持ちながら、体重増加の見られない結果となっており、今後の認可が期待されています。
私もオランザピンを使っていて良い効果が出ているにも関わらず、血糖値の上昇で使用を断念したことがあり、こういった患者さんにとっては大きな利益につながることが考えられます。