出産後の母親のうつが子どもの発育に与える影響については以前から指摘されており、子どもの健康に十分配慮できなくなる点や家庭の機能不全が介在することが考えられています。
今回は、子どもが生まれて間もなくの時期における父親のうつがどのように子どもに影響するかを調べた研究について説明させてください。
出産後の父母のうつと18歳になった子どものうつの関連
3000組以上の父と子どものペアが調査されました。父親が子供が生まれた時期にうつになっていた場合、子どもが18歳になったときのうつ病となる発症率が高まることが示されました。
また、同時に起こりやすい事象として、早期の行為障害(適応上問題となる行動を主症状とする障害)があり、女児の場合には母親もうつになることで子どもに影響を与えている可能性があると指摘されました。
出産後の養育に関する条件として、母親の状態が注目されがちですが、父親の精神状態も何らかのかたちで子どもの精神的発達に影響を与えることが分かりました。
子どもの出産は家族にとって喜ばしいイベントであるはずですが、同時に両親に対して大きな身体的・精神的な負担の生じる時期でもあります。
大きな家族機能の単位で、精神衛生について考える必要を感じました。