経験と照らしても病気の後には疲れた感じがして、気分が落ち込むことも多い気がします。それが、ICU(集中治療室)に入るような重病であれば、なおさら精神状態が悪化する危険性は高いと思われます。
今回は、重病を経験した後の精神状態に関する調査をご紹介します。
重病後における不安・うつ・PTSD(心的外傷後ストレス障害)
イギリスのICU26か所を退院した後の21633人が調査の対象となりました。
質問紙を郵送して回答した人のうち55%が何らかの精神状態悪化を来していました。同様に46%が不安、40%がうつ、22%がPTSDで治療の対象となるレベルの症状がありました。また、18%はこれら3つの状態をすべて合併しており、症状の重複が多いことも示されました。
そして、これらのうちうつ症状をともなっている場合には、通常よりも2年間の死亡率(死因は自殺とは限りません)が47%高いことが分かりました。
調査の内容は、郵送した質問紙に回答してくれた方の人数を分母としているので、自身の精神状態に不安があったことが回答への動機になった可能性があり、割合の数字自体について「重病を経験すると半分以上精神状態が悪くなる」と解釈することには無理があるような気がします。
しかし、つらい精神症状を経験する方が多いのも事実で、それがうつ病の基準を満たすような状態である場合には、何らかの原因で死亡することも含めて、より慎重に状態をみていく必要があると感じました。