身体疾患に精神疾患が合併することは多く経験されます。
特に癌などの重篤な病気についての告知を受けた後では気分の落ち込み・不安等が著しくなりますし、場合によっては自殺をひき起すことがあります。
今回は、40歳以前に発症した糖尿病では、まず全体として入院期間がどのように伸びるか、また、どんな疾患での入院が多いかについて調査した研究をご紹介します。
早期発症の糖尿病における精神疾患と入院による負担
香港における2万人以上の2型糖尿病患者が調査の対象となりました。
まず、早期発症の糖尿病では、通常の時期(中年後期以降)の発症に比べて、75歳までの全体の入院期間がおよ1.8倍になっていました。すべての入院理由をあげてみると腎臓(6.7倍)、糖尿病(3.7倍)、心臓血管(2.1倍)、感染症(1.7倍)となっていました。
そして、この中でさらに40歳以前の入院期間に絞ると36.8%が精神疾患での入院であることが分かりました。
全体の年代としては合併する身体疾患の入院が主ですが、若い年代に限定すると精神疾患が多くの部分を占めることになります。
特に児童期を含めたごく早期に発症した糖尿病ではうつ病や強い不安を合併する例が多いと言われます。
慢性に経過する治療・管理に心理的負担のかかる身体疾患では、特に若年において精神的ケアに留意する必要があると痛感する内容の論文でした。