肥満が身体にとって悪影響(高血圧、耐糖能の低下、炎症の促進、運動機能の低下等)をもたらすことは、様々な側面から指摘されています。
精神面でも、摂食障害や身体醜形障害など、自分の身体に対するコンプレックスが精神症状をひき起こしたと理解される病態があり、肥満は大きな要因の一つになり得ると考えられています。
今回は、子どもにおけるBMI(体型の指標で体重kg÷身長mの2乗)がどのように精神的な症状に影響を及ぼすのかを調べた研究をご紹介します。
児童から思春期におけるBMIと精神症状の合併、増悪、一時的関連性について
イギリスのMillennium Cohort Studyという研究に登録されている17,215人が調査の対象となり、9か月、3・5・7・11・14歳でのBMIと精神症状が調べられました。
結果として、3歳までの幼少期にはほとんど関連を認めませんでしたが、11歳以上では合併する確率が高くなり、変化の様子を調べる分析法では7歳以降で、BMIと精神症状が影響を及ぼし合っている可能性が示されました。
以上の結果から、成長するにつれて体型と精神症状がお互いに影響を与え、合併する割合も増えてくることが分かります。研究では、成長するほど、環境的要因(心理・社会・経済的要因)の影響も大きくなることが示されています。
思春期になるに従って、影響の出現様式も複雑になり、様々な要因が関連するようになります。BMIの影響が懸念される場合でも、単純に体型からのコンプレックスを考えるのみではなく、認知の傾向や社会的な状況など、総合的に検討する必要性があると思われました。