題名の通り、不登校への対応がQ&A形式で具体的に書かれた本です。
編著者は普段から不登校支援にあたっている方たちで、一部の専門領域に関しては医師が回答者になっています。
全部で100の回答がありますが、ごく一部を例としてあげると以下のようになります。
・学校に行きたくない理由を、子どもが話してくれません。
・いじめが原因のようで心配なのですが?
・子どもをうまく説得する方法を教えてください。
・単なる怠けだと思うのですが?
・「お腹が痛い」と言いますが、昼には治ります。仮病では?
・昼夜逆転してしまっています。
・勉強をまったくしません。
・風呂に入らないなど、不潔で困っています。
・ゲームをやめさせる方法は何かありますか?
・私がうつ病になってしまいました。
・家族との食事を避けます。
・家でどうすごせばいいですか?
・父親が不登校を理解してくれず、困っています。 etc
上記のような内容についての対応に一貫してみられるのは以下のような原則です。
①子どものエネルギーが貯まるような関わりをする。
②子どもが自分で考え、自分で決めて行動できるように支える。
③子どもは本来、皆成長する力を備えていると信じる。
上記の方針は所々で繰り返されており、本書を貫くテーマと言える部分だと思います。
特徴として、とても要点をつかみやすい構造をしている点があげられます。見開き2ページで、一つの回答が完結しており、さらに最後に2~3行でまとめがしてあります。疲弊している状態で、全体を読むのがつらい場合でも、読みたい項目だけをみるので十分役立つと思われます。
さらに、時々載せられている体験者の言葉が非常に参考になります。すべての子どもが同じような感じ方をするわけではないと思いますが、その状況に陥った当事者がどのように感じるものなのかヒントになると感じました。
最後に“まえがき”のところに書かれている不登校の子どもをもつお母さんの話を抜粋させてください。
「子どもが徐々に学校に行かなくなった時、私ども夫婦は『まさか、うちの子が不登校になるなんて』とあせりました。そして何とか子どもに学校に行ってほしくて、無理やり学校に引っ張って行ったり、怒鳴り合いのケンカをしました。でも結局子どもは動きませんでしたし、家の中から子どもの笑顔が消えました。不登校が長期化する中、先が見えないトンネルがどこまで続くのか非常に不安です。先に小さくても光が見えたり、トンネルの長さがわかっていたりすれば耐えられます。でも、このトンネルは実は永遠に続いているのではないか、とすら思えてしまうのです。」
この本は、このような状況にあるご家族や本人にとって、対応の手がかりを与えてくれると思います。