以前に認知症による運転技術の低下を測定する(あるいは運転の練習を行う)機械を見たことがあります。個人としての印象ですが、リアリティを喚起するための工夫を感じない内容で、少しがっかりしたのをおぼえています。
今回ご紹介するのはSea Hero Questというゲームで、症状が出るよりずっと以前の段階でアルツハイマー病のリスクが判断できるのではないかという内容の研究です。
アルツハイマー病の遺伝的リスクがある群における個別化された認知能力評価
イギリスにおける研究で、69人の参加者とこれまでに集められていた27000人程のゲームスコアのデータが比較されました。
このSea Hero Questというゲームの、特に進路発見の過程を分析することにより、症状が明らかになるずっと以前のアルツハイマー病のリスクを発見できるという結果が示されました。
また、これらの結果により単なるアルツハイマー病というだけではない症状の個別性をふまえた鑑別ができるようになる可能性があると述べられています。
以前から、アルツハイマー病では、記憶力の障害より、ずっと早く空間認知の障害が現れることが指摘されています。
このゲームは特に空間認知に焦点を当てた内容となっており、通常の検査等よりリアリティがあり、詳細なデータ収集が客観的に行える利点があるようです。
論文中では、アルツハイマー病を症状出現以前の段階で診断することで、予後を大きく変化させる介入の可能性が指摘されており、今後の応用が期待できる技術であるように感じられました。