アルツハイマー型認知症に対するより有効な治療法を見出すことは現在の人間社会にとって非常に優先度の高い課題であり、薬剤の開発も盛んですが、なかなか成果が出ていないのが現状です。
今回は、初期のアルツハイマー型認知症に有効であると目されていた薬剤の臨床治験の結果についてご紹介します。
軽症から中等症のアルツハイマー病に対するエドネルピクアレアートの安全性と有効性
軽症から中等症のアルツハイマー病患者484人(55歳~85歳)が調査の対象となりました。
試験では二重盲検(治療する側もされる側も使われているのが実薬か知らない状態)のランダムなグループ分けが行われ、薬剤の効果を52週間に渡って確認しました。
心配されていた消化器症状の副作用は少なかったものの、実際の効果(認知能力の指標ADAS-cogなどで確認される認知症状の改善)は用量に関わらずはっきりしませんでした。
臨床の前段階では神経毒性からの保護作用や神経の接続を保持したり、記憶の減退を予防する効果を認めており、期待されていた薬剤なので、今回の結果は残念です。
アルツハイマー病の治療法の開発には世界的に巨額の予算が費やされており、次々に知見は集積されています。今後、治療の突破口となる薬剤が見出されることが期待されます。