必須アミノ酸の一つであるメチオニンはコレステロールを下げる等、体内で有益な作用を有しており、中間代謝産物としてホモシステインを生じます。また、ホモシステインからは葉酸等が関与して、メチオニンが再生される反応経路があります。
今回は、このメチオニンの代謝状態に関連して、認知症の発症リスクが変化するのではないか、という内容の論文をご紹介します。
メチオニン/ホモシステイン比と脳MRI測定値・認知症発症リスクとの関連
スウェーデンの研究で、2570人(研究開始の時点で認知能力の低下なし、平均年齢75.1人、女性56.5%)についてメチオニン、ホモシステイン濃度、ビタミンサプリの服用習慣、認知能力、脳のMRI画像が調査されました。
6年間の経過観察の結果、メチオニン濃度が高く、ホモシステイン濃度が低いほど、認知症発症リスクが低下し、MRI上脳の体積減少が少ないことが分かりました。
そして、メチオニン/ホモシステイン比の状態は、ビタミン摂取の習慣がある方が高く、認知症発症も少ないことが分かりました。
因果関係までは不明ですが、ビタミン(特にB12、葉酸)を摂取し、体内のメチオニン量を保持することは、認知症発症リスクを低下させる可能性が示されました。
様々な、物質に関連して認知症発症リスクの増減が示されていますが、ビタミン摂取は(極端な大量摂取を除いて)副作用も少なく、多くの疾患に予防効果が期待できるので、生活習慣に取り入れることは有益であると考えられまた。