集中が困難で落ち着きのないADHDの特性と、気分が高揚して様々なことに興味が広がり、活動性が高まる躁状態とは一時点での特徴を見れば、非常に共通する部分の多い状態像と言えます。
今回は、このように似通った状態像を持つ2つ疾患について、環境要因と遺伝的要因の調査を行った論文をご紹介します。
ADHDの遺伝/環境因子と若年者における軽躁症状との関連
スウェーデンにおける研究で、13532ペアの双子(9~12歳)が調査の対象となりました。
結果として、若年者の軽躁症状のうち29%がADHDと遺伝的危険因子を共有していると考えられました。
もう少し詳しくみると、軽躁症状のうち25%が(ADHDの)多動や衝動を示す領域と関連し、16%が不注意の領域との関連性を示していました。
これらに対して、環境的要因は目立った関連性はなく、軽躁的な行動パターンとADHDの背景には、主として遺伝的要因が作用している可能性が示されました。
実際に、情報が限られていて、詳しい病歴がわからない場合、躁状態かADHDかは診断に迷う場合があります。
しかし、遺伝的背景を共有していることを考えると、本質的にみて、治療方針や対応等で共通の方策が役立つ可能性があると考えられました。