うつ病の中でも、妄想等の精神病性の症状を伴う精神病性のうつ病が存在します。
社会生活への影響や自殺の危険性が大きく、一度症状が軽減しても特に経過観察に注意が必要な病態として知られています。
今回は、精神病性のうつ病に対する治療として抗精神病効果のあるオランザピン(ジプレキサ)が再発(再燃)を予防する効果があるか調べた研究をご紹介します。
精神病性うつ病に関するオランザピン継続の再発予防効果
精神病性うつ病の症状を示す126人が調査の対象となりました。
当初の治療ではすべての場合で、セルトラリン(抗うつ薬)+オランザピン(抗精神病薬)が用いられ、一旦症状が落ち着いた後、オランザピンを継続するグループと、継続しないグループとに振り分けられました。
結果として、オランザピンを継続したグループの方が、36週間の経過観察で明らかに再発率が低いこと(再発の割合が4分の1に低下)が分かりました。
この研究では、同時に、オランザピンの体重増加等のリスクが高いことも示されており、これらの副作用と再発率低下のメリットについて、慎重に検討した上で実際の決定を行うことになると考えられました。