ソーシャル・メディアの利用が精神状態に悪影響を及ぼすという議論は以前からありますが、実際の利用増加の様子や影響している要素について詳しく分かっていません。
今回は、イギリスにおける思春期のソーシャル・メディア利用がどのように精神状態に影響したのか調べた研究について説明します。
13歳~16歳の約10000人について3年間の経過を調べました。
ソーシャル・メディア利用の程度、“非常に良く利用する“の割合が初年度と3年目を比較して、男性では34%⇒62%、女性では51%⇒75%となっており、男女とも利用の大きな増加がみられていますが、特に女性での高頻度な利用が目立つ傾向があります。
また、利用頻度の上昇と精神状態の悪化は関連しており、伴に認められる要素として、ネット上のいじめ、不十分な睡眠、身体活動の低下が挙げられました。
これらの合併する要素を検討すると、ソーシャル・メディアの利用は直接的に精神に悪影響を及ぼすと言うよりは、いじめ、睡眠、身体活動と言った直接的な要素の背景として働いている可能性が高いと思われます。
対策として、ソーシャル・メディアの利用を制限するという方法も考えられるかもしれませんが、より直接的な方法としては、せめて睡眠や身体的活動を確保する等、生活のバランスを整える介入も有効であると考えられました。