ケトン食は、炭水化物の摂取を制限し、高脂肪・蛋白の食事を基本とします。これによって、特にエネルギー源として脂肪の燃焼を強制し、通常の炭水化物に依存したエネルギー供給の仕組みを変化させることになります。
また、統合失調症においては、死後の剖検や生存中の機能的画像検査等において、脳のエネルギー活用の異常(特に炭水化物の処理やミトコンドリアの機能異常)による神経伝達の障害が生じているという仮説を支持するエビデンス(医学的証拠)が得られています。
今回は、最近のケトン食をめぐる文献のレビュー記事がありましたので、ご紹介します。
統合失調症に対するケトン食:その臨床的適応
近日に発表された文献を概観・分析すると、まず、マウスを用いた実験において、上記のような炭水化物代謝が障害された状態でも、脂肪を代替のエネルギーとして用いることによって症状の改善が得られる可能性が示されています。
さらに臨床的にも、統合失調症の患者さんで、炭水化物の代謝異常の影響が、ケトン食によって軽減されることが分かりました。
以上のようなエビデンスから、薬物療法に代わるという意味ではなく、ケトン食は統合失調への新しいアプローチとして注目されています。
まだ、多くの点で議論のある「食事療法」ですが、少なくともケトン食についてはそろそろエビデンスについて把握しておく必要がありそうです。