自閉症スペクトラムなどの発達障害に対して、抗うつ薬(SSRI)が用いられることがあります。
二次障害としてうつ症状のみではなく、中核的な症状であるこだわりや常同性に対しても使用されることがあり、強迫性障害に用いたときと同じ効果を期待して、実際、こだわりが低下し、儀式的行為の程度が軽くなることがあります。
今回は海外における代表的なSSRIであるフルオキセチンを用いて、こだわりを基礎とする強迫症状への効果をみた研究をご紹介します。
児童思春期の自閉スペクトラム症における強迫的行動に対するフルオキセチンの効果
強迫症状を伴う自閉スペクトラム症である146人(平均年齢11.2歳、85%が男性)が対象となりました。
約半数をフルオキセチンで、他方のグループには偽薬を用いて、16週間の経過をみました。
両グループとも多数のドロップアウトがありましたが、結果としては一応、フルオキセチン用いたグループの方がCYBOCS-PDDという尺度で、2.01だけ強迫症状の軽減が大きいことが示されました。
もともとあまり規模が大きくない集団で、研究からの離脱も多く、グループ間の差も僅差でした。
よって、強い証拠とは言えないかもしれませんが、SSRIが自閉症スペクトラムのこだわりに基づく行動にも有効である可能性が考えられました。