ベンゾジアゼピン系と呼ばれる共通の化学構造をもつ薬剤について多くの弊害が指摘されています。
元来は不安を鎮めたり睡眠導入のために使用されていた他の薬剤に比較して副作用が少ない薬剤として登場した経緯があり、現在でも非常に広範に使用されています。
処方薬依存や長期使用による認知能力の低下等、様々な問題が示されており、減薬をすすめる立場が主流となっています。
今回はベンゾジアゼピン系の仕様と自殺との関連について調べた論文を紹介させてください。
スウェーデンの研究で、①自殺に至った154人(101人が男性、13~96歳)が調査の対象となりました。
性別や年齢、診断名等を同等にして②自殺に至らなかった例と比較したところ、①のグループの方が、ベンゾジアゼピン系薬剤をより頻度が高く(1.89倍)処方されていました。
他の薬剤についてはこのような差異はなく、ベンゾジアゼピン系薬剤が自殺リスクに関して、促進的要素として関連している可能性が考えられました。
しかし、診断名等に関してマッチングを行っても、重症度や精神疾患の病態自体と処方傾向とが関連しており、自殺の危険があるような病態では特にベンゾジアゼピン系薬剤が治療的意図で処方されやすいという可能性も高いと考えられました。
ベンゾジアゼピンが自殺のリスクを上昇させていると単純に解釈することはできない結果であるように思われました。