終末期医療においていかに痛みの緩和を図るのかは非常に大きな課題で、明らかな生命予後の短縮にならないかの検討は必要ですが、可能なあらゆる手段を講じて疼痛軽減を図るべきであると思われます。
終末期における疼痛緩和は人間の尊厳性とも関わる問題とされており、どのように終末を迎えたいか、本人の価値観を含めて、十分な検討が必要なテーマです。
今回は様々な終末期医療におけるガイドラインや合意内容などについて、分析を行った論文の紹介です。
終末期患者の疼痛管理に関する臨床実践に関するガイドラインと合意文書
10本の発表(あるは出版物掲載)が分析に含まれました。全体として応用可能性と開発の厳格さにおいて低いレベルのものが認められました。
多くの指針が次の点で共通していました。
①疼痛測定に量的な指標ツールを用いる。
②疼痛緩和のために麻薬を使用し、不安の緩和にベンゾジアゼピン系薬剤を用いる。
③生命維持装置のない状態での神経筋遮断薬の使用には反対である。
④疼痛コントロールのための高用量のオピオイドや鎮静薬の使用を支持する。
⑤集中治療室内での終末期における疼痛管理を改善するために質的指標を用いる。
以上のような共通点を認めるものの、それらがどれくらい有効なのか、生命予後を阻害していないかなどの検討は十分になされておらず、証拠が不十分な点が多いとされています。
疼痛の緩和には最大限の努力が払われるべきであるとは思われまずが、生命予後の改善と緩和的側面のバランスのとれた適切な疼痛管理のためには医学的な証拠についてさらに検討が必要であると思われました。