アメリカでは、予防可能な3つの死亡原因のうち2つがタバコとアルコールであるとされているようです。
日本でもそれに近い状況があると思われますが、実際診察の場面等で患者さんのタバコとアルコール使用に関してふれることは難しく感じます。
私の場合は、どうしてもそのような身体的健康に悪い物質使用であっても何らかの自己治療的側面のあることが多く、一概にすべての価値を否定するべきではないように感じてしまうことがあります。
つまり、人にはそれぞれ事情があり、身体的には悪癖でありながらも、今の生活を何とかやっていくためには必要であることも多いように思われるのです。
だからと言って、身体面や精神面での悪影響を考慮しないわけにはいかず、より有効な、患者さんが納得しやすい介入の方法を模索することになります。
今回は、どうしてタバコやアルコール使用への介入が難しいのか、援助者へのネット上のアンケートを通じて調査された内容をご紹介します。
6か月以上は初期医療の現場で働いている援助者285人(心理職48%、ソーシャルワーカー33%を含む)が調査の対象となりました。
まず、タバコやアルコール使用に関する介入を行う上での障害として、以下の内容が挙げられました。
①患者さんたちが、タバコやアルコール使用に関する話題に触れたがらないこと
②自分たちの行動を変えたいとは思っていないこと
そして、反対に介入がし易くなる要素として
①患者さんが治療の目標としてタバコやアルコールの減量や中止を設定できること
②介入を行う者と患者さんとの良好な関係性
③タバコやアルコール使用に的を絞った紹介の存在
がありました。
当然と言えば当然過ぎる内容ではありますが、そもそも障害の①のように嗜癖はプライベートな領域に属する内容であり、他人に容易に踏み込んで欲しくないないようであると思います。
だからこそ、まずは介入を支える要素としての②のように、援助者との信頼関係が重要なのだと思われました。