様々な精神作用のある薬剤について副作用や依存性が問題となることが多く、可能な限り短期間の使用が望ましいという意識があります。
しかし、中には使用が短期間過ぎたために効果がはっきりしなかったり、中止が急激であったためにかえって危険な場合があります。
今回は、日本では使用頻度の多くない薬剤かもしれませんが、麻薬依存症の治療に対しては使われる頻度の高いレペタン(ブプレノルフィン)について、使用期間の長短によるリスクを比較した論文をご紹介します。
オピオイド依存症に対するブプレノルフィン使用をやめたときの有害事象
アメリカの医療扶助であるメディケイドのデータベース(2013‐ 2017)が調査の対象となりました。
レペタンの使用期間を6~9・9~12・12~15・15~18ヶ月のグループに分けて、救急受診や入院、オピオイドの処方、過量服薬のイベントがあったか調べました。
結果として試用期間の短い6~9ヶ月のグループ(4126人)よりも、試用期間が15~18ヶ月のグループ(931人)の方が明らかに、上記のような有害事象が少なくなっていました。
例として、救急受診は0.75倍、入院は0.79倍、オピオイドの処方は0.67倍となっていました。
よって、レペタン(ブプレノルフィン)に関してはより使用期間が長い方(15ヶ月以上)が経過が良好であることが示されました。
今回は、あまり馴染みのない麻薬依存の治療薬についてでしたが、一般的にも薬剤の使用期間を設定するときには、それぞれの薬剤の意義や作用するしくみを理解し、薬剤ごとの適切な扱いをするべきであると考えられました。