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執筆者の写真もりさわメンタルクリニック

COVID-19による入院後、精神疾患の発症は増えるのか?


COVID-19の呼吸器症状が改善した後に、慢性的な疲労感・うつ・不安等の精神症状を経験される人がいます。


今回は、イギリスの大規模データを用いて、COVID-19による入院後に精神症状を発症が増えるのか、またそれは他の感染症とは違うのかを調べた研究をご紹介します。


重症COVID-19と他の呼吸器感染症による神経精神領域の影響


イギリスの18歳以上の成人約800万人(平均49.18歳)が対象となりました。


2020年1月24日~2021年1月7日の間にCOVID-19や他の重症呼吸器感染で入院した人と、そうでない人で精神疾患の発症率や処方を比べました。


結果として、以下の内容が示されました。

①COVID-19でも、他の感染症でも、重症呼吸器感染で入院した後には精神疾患の発症や処方が多くなっていました(例として、不安症状については他の感染症で1.86倍、COVID-19で2.36倍)。

②全体として呼吸器感染症による入院後には精神疾患の発症や向精神薬の処方が多くなっており、それはCOVID-19か否かで明らかな違いがありませんでした。


つまり、“COVID-19でも、他の呼吸器感染症でも、入院後には精神疾患は増えるが、それはCOVID-19であるかどうかには関係ないかもしれない”と言えそうです。


COVID-19後に認める精神症状は、新型コロナウィルス独自の精神領域への病原性を示すものではなく、重症呼吸疾患ならばいずれの原因であっても考えられる症状である可能性が考えられました。


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