COVID-19後に、慢性の疲労感が出現することがあり、“post-COVID fatigue ”(以降、pCF)と呼ばれることがあります。
今回はpCFについて、症状の客観的な評価や自律神経機能への影響等を調べた研究をご紹介します。
コロナウィルス感染症後の疲労感における神経制御障害
SARS-CoV-2感染後に慢性の疲労を生じた37人と性別や年齢を揃えた比較対照としての52人が研究の対象となりました。
上記の対象者に運動や神経生理学的検査を行い、中枢神経・末梢神経・自律神経の機能を評価し、疲労の有無による影響を調べました。
結果として、以下のことが示されました。
①疲労後の筋肉収縮力を比較してみると、平均値でpCF 48.5% vs 正常 67.1%とpCFでは疲労による筋力低下が大きくなっていました。
②刺激条件を変えた運動誘発電位の比を調べてみると、平均値でpCF 170.6% vs 正常 258.3%とpCFでは皮質の興奮の程度が低くなっていました。
③その他、pCFでは安静時の脈拍が速く、酸素飽和度が低くなっていました。
つまり、“COVID-19後の慢性疲労では中枢や末梢神経・自律神経の領域で様々なな異常が出現する可能性がある”と言えそうです。
しくみまでは分かりませんが、単なる感覚としての疲労感のみではなく、神経の機能異常が生じていることが客観的に示されていました。
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