治療抵抗性のうつ病に対して、ECT(電気けいれん療法)が有効であることは広く知られています。
その副作用として、健忘等の一過性の認知機能低下が起こることが指摘されてきました。
今回は、広い年代でECT後のうつ症状、認知機能の変化を調べたMelanie McArdlerらによる学会発表 American Association for Geriatric Psychiatry (AAGP) 2023 Annual Meetingをご紹介します。
後ろ向きコホート研究と呼ばれる研究計画で、ECTのうつ病に対するECTの効果や認知機能に対する影響を、50~59歳347人、60~69歳281人、70~79歳122人、80歳以上20人で確認しました。
結果として、以下の内容が示されました。
・全体としてうつ症状の改善は明らかで、施術前後のうつ病尺度Quick Inventory of Depressive Symptomatology (QIDS) の減少は42~57%となっていました。
・認知機能に対する影響は全体では明らかな差異はなく、70歳以上の高齢者では、注意、遂行能力等の点で、むしろ改善を示していました。
要約:『ECTによる副作用として、認知機能低下は明らかではなく、高齢者ではむしろ改善することも考えられる』
演者による談話として、うつ症状の影響が軽減したことによる認知機能の改善ではないかという指摘がありましたが、認知機能に影響する様々な観点から評価する必要性を感じました。
もりさわメンタルクリニック:https://www.morisawa-mental-clinic.com/
rTMS治療:
YouTubeチャンネル(オンライン講座):https://www.youtube.com/channel/UCd8RS50q_Ol_x82AL9hhziQ
Comments