現在、様々な認知症の血清学的マーカーが提案されていますが、コストと有用性からどの物質が最も望ましい評価尺度であるか検討が続いています。
今回は、神経変性を示すマーカーであるGFAP(グリア線維性酸性タンパク質)とNfl(ニューロフィラメント軽鎖)について、コレステロール値によって、どのようにマーカーの有用性が異なるのかを調べた研究をご紹介します。
神経変性マーカーと高コレステロールを組み合わせた場合の認知症リスク評価の有用性
認知症を伴う261人と比較対照としての507人を含む、合計768人の高齢者が研究の対象となりました。
研究開始時のコレステロール値によって、高コレステロールと低コレステロールのグループに分け、それぞれで神経変性マーカーの有用性がどのように異なるのか、17年間の経過観察で調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①低コレステロールのグループについては、GFAP陽性の場合のリスク目安(オッズ比)は2.44倍、Nflは2.96倍となっていました。
②高コレステロールのグループについて、GFAP陽性の場合のリスク目安(オッズ比)は5.10 倍、Nflは1.15倍となっていました。
つまり、“神経変性を示すGFAPやNflというマーカーは、高コレステロールがあった場合のほうが認知症の予測に役立つ”と言えるかもしれません。
血液サンプルで分かるデータは、単独ではあまり予測精度が高くない場合でも、他のデータと組み合わせると非常に役立つ場合があると考えられました。
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