血糖を下げるホルモンとして有名なインスリンがその効果を発揮しにくい傾向が出現することがあり、これを“インスリン抵抗性”と呼びます。
うつ病とインスリン抵抗性の関連については、以前から指摘があるものの、それを説明する仕組み等、詳細なことは分かっていません。
今回は、うつ病とインスリン抵抗性との関連を、現在進行中の場合と寛解した場合とに分けて調べた研究をご紹介します。
うつ病の重症度や寛解状態と、インスリン抵抗性との関連
オランダにおける研究で、1,269人(現在うつ病に罹患中536人、寛解状態394人、健常者339人)を含む。
上記の参加者について、インスリン抵抗性、うつ病の重症度、慢性的な状態、インスリン抵抗性の適切な尺度について調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①現在、うつ病に罹患中の場合には、インスリン抵抗性のリスクが1.51倍となり、寛解状態の場合には明らかな関連性はありませんでした。また、現在罹患中の場合だけ、重症度とインスリン抵抗性とが関連を示していました。
②中性脂肪/HDL比がうつ病におけるインスリン抵抗性の代替指標として良く機能していました。
つまり、うつ病の状態にある場合には何らかの仕組みによって、インスリン抵抗性が上昇し、これは重症度とも関連する。寛解状態では関係なくなるので、体質の問題ではなさそうだ、ということになります。
現在のところ、関連を説明する仕組みとして、うつ病の背景にあると言われている炎症の機序などが想定されています。これから共通の背景が分かることによって、うつ病自体の治療にもつながるのではないかと期待される内容でした。
#うつ病 #インスリン抵抗性
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