◎要約:『磁気刺激と直流電気刺激を併用した場合の方が、それぞれを単独で用いるよりもうつ病への効果が大きいかもしれない』
今回は、うつ病に対して反復経頭蓋磁気刺激(rTMS、以下「磁気刺激」と表記)と経頭蓋直流電気刺激(tDCS、以下「電気刺激」と表記)を併用した場合の治療効果について調べた研究をご紹介します。
Transcranial Direct Current Stimulation Combined With Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation for Depression
A Randomized Clinical Trial
うつ病に対する経頭蓋直流電気刺激と反復経頭蓋磁気刺激の併用
中国における研究で、うつ病に罹患した240人(平均32.50歳、女性57.9%)が対象となりました。
対象者を4つのグループ(磁気刺激+電気刺激、磁気刺激+偽刺激、電気刺激+偽刺激、偽刺激だけ)に分けて、2週間(5セッション/週、計10セッション)の効果を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
・両方とも本当の刺激をした場合が、一番うつ症状の改善が大きくなっていました。
・今回用いられたうつ病の尺度(ハミルトンのうつ病尺度)で、改善した点数を平均で示すと、磁気刺激+電気刺激:18.33、磁気刺激+偽刺激:14.86、電気刺激+偽刺激:9.21、偽刺激だけ:10.77となっていました。
単なる効果の合算なのか、何らかの相乗効果があるのかは不明ですが、(今回の試験では安全性の問題は指摘されていないので)今後、両者を併用する選択肢について検証が期待される結果でした。
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