◎要約:『高齢期のうつ症状は、脳の局所的なアミロイド沈着(アルツハイマー病の病態)と関連するかもしれない』
今回は、高齢者におけるうつ症状が脳のアミロイド沈着と関連するかを調べた研究をご紹介します。
認知障害のない高齢者における局所的なアミロイド沈着とうつ症状の変化
Change in Depressive Symptoms and Longitudinal Regional Amyloid Accumulation in Unimpaired Older Adults
認知障害のない高齢者154人(61%女性、平均72.6歳)が対象となりました。
PET画像で調べたアミロイド沈着とうつ症状との関連を、平均8.6年の経過で観察しています。
結果として、以下の内容が示されました。
・脳局所(眼窩前頭皮質など)のアミロイド(アルツハイマー病の原因物質)の沈着とうつ症状の悪化が関連を示していました。
・アミロイド沈着の部位は感情のコントロールに関与する部位が中心となっていました。
・うつ症状は悪化は、認知能力の低下とは独立して生じていました。
症状としては明らかでないアルツハイマー病の病態(アミロイド沈着)でも、うつ症状として前兆が生じている可能性が考えられました。
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