適度な飲酒は脳に対して良い影響を与えるという指摘があります。個人の条件もあり、“適度”ということの定義が難しいところですが、循環に関する保護的な要素が背景にあるようです。
今回は、やや以前(2018年)の論文になりますが、特にアルコール依存(乱用)が認知症全体の割合を増やすのかを検討した研究をご紹介します。
アルコール使用障害の認知症発症への影響
フランスの全国規模の研究で、2008~2013年に病院から退院した約3100万人が対象となりました。
過去を振り返ってリスクを比較する方法で、アルコール使用障害がある場合とそうでない場合との相対的な認知症発症のリスクを比較しました。
結果として、アルコール使用障害は改善可能なリスク要因のうち最大のもので、相対的な認知症発症のリスクは女性で3.34倍、男性で3.36倍となっていました。
つまり、“アルコール依存症等のアルコール使用障害は、アルツハイマー病等の認知症全般に関して非常に大きなリスク要因である”と言えそうです。
アルコールの過剰な摂取は、特にアルコール摂取と栄養障害に関連した認知能力低下のみでなく、認知症全体の発症に大きく寄与する可能性が考えられました。
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