飲酒問題を解決したいと願う自助グループに、アルコホーリクス・アノニマス(Alcoholics Anonymous)があります。
そこで採用されている回復のための方法は“12ステップのプログラムTwelve‐Step Facilitation (TSF) ”と呼ばれています。
キリスト教の影響もあり、日本の文化に馴染みにくいという感想もあるかもしれませんが、アルコール依存のみではなく広く“嗜癖(アディクション)”に対する有効性が示されている手法です。
今回は、このアルコホーリクス・アノニマス/12ステップのプログラム(AA/TSF)と認知行動療法等その他の心理療法のアルコール依存症に対する効果を比較した研究を分析した結果(メタ・アナリシス)についてご紹介させてください。
アルコホーリクス・アノニマスと12ステップのプログラムの有効性
AA/TSFと他の心理療法の効果を比較した、10,565人の参加者を含む27の研究が分析の対象となりました。
結果として以下のことが示されました。
①AA/TSFの方が、認知行動療法を主とする他の心理療法よりも、断酒を継続する上で有効でした。(例:1ヶ月後の断酒継続率が21%高い)
②AA/TSFでは健康維持に関する全体の費用が軽減していました。
つまり、多くの他の心理療法の平均的効果よりは12ステップのプログラムの方が、アルコールをやめる上で役立つ可能性が高い、ということが言えそうです。
心理療法では、個人とその心理療法の特性との“相性”も大切であると思います。
12ステップのプログラムが有効という話があっても、内容を呼んで「?」という方は多いと思うので、導入やサポートのあり方には工夫が必要であると考えられました。
#アルコール依存症
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