アルツハイマー型認知症の治療をめぐる状況としては、一度は2019年3月に臨床試験が中止された治療薬( 抗アミロイドβ抗体 )であるアデュカヌマブ が高用量投与を含む大規模なデータセットを追加して解析された結果、有効性が証明され、2020年早期に新薬承認を目指すことが発表されました。
また、アルツハイマー型認知症の初期段階で服用することにより、粗大な認知能力低下への進行を抑制する薬剤(いわゆる disease-modifying treatments : DMTs)もさらに登場することが期待されており、アルツハイマー型認知症の治療選択肢は徐々に拡大していくと考えられます。
このような中で、特に重要なのが、服薬が特に有用な初期の段階でアルツハイマー型認知症を発見することであり、一番最初に患者さんに接する可能性の高いプライマリ・ケア医の重要性が強調されています。
今回は、プライマリ・ケアのレベルでどのようにアルツハイマー型認知症を早期に発見するか、有用な検査について、過去の文献を分析した結果をご紹介します。
アルツハイマー病の経過改善薬出現の可能性とプライマリ・ケア医の役割
多くの検査が評価されてきましたが、 MMSE: Mini-Mental State Examinationと MoCA: Montreal Cognitive Assessment のみが、初期のアルツハイマー型認知症を診断する上で有用でした。
感度(どれだけ漏れなく疾病を発見できるか)と特異度(どれだけ間違いなく疾病を発見できるか)と言われる検査の評価上の指標は以下のようになっていました。
①MMSE 感度 :55%~82% / 特異度:72%~84%
②MoCA 感度 :77%~96% / 特異度:73%~95%
評価については幅があり、上記のような問診の検査だけでは誤った判断(偽陽性/偽陰性)が多くなることが予想されます。
これ加えて、クリニックレベルの血液検査(血漿のアミロイドβテスト)が近い将来施行可能になると思われ、これと上記の問診による検査を合わせることにより、感度は 97%特異度は81%にまで高められると推定されています。
アルツハイマー病の治療において早期発見の重要性は今後ますます高まりそうです。
#アルツハイマー型認知症
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