アルツハイマー病では同じように特徴的な病理(アミロイドβやタウ蛋白という物質の沈着等)がみられても、個人間で経過が大きく異なることが知られています。
このようなアルツハイマー病に対する、いわゆる“抵抗力”の差といったものはどこから生じるのでしょうか?
今回は、このようなアルツハイマー病に対する抵抗力を、脳の抵抗力と認知の抵抗力に分けて、どのような要因がありそうか探った研究をご紹介します。
アルツハイマー病の病理を認める時の脳や認知の抵抗力評価
脳にアルツハイマー病の病理所見のある260人が調査の対象となりました。
平均2年の間隔をあけて、認知能力を図る検査やMRI等の画像検査を行いました。
以下のような結果が得られました。
①画像の検査で分かる“脳の抵抗力”に関しては年齢が若いことや女性であることが有利な条件となっていました。
②認知機能の検査で分かる“認知の抵抗力”に関しては、高い教育歴や脳の皮質が厚いことが有利な条件でした。
つまり、同じアルツハイマー病でも年齢が若い、女性である条件のもとでは、脳の痩せが少なくなる。また、教育レベルが高い、もとの脳の厚みが大きいと、認知能力が落ちにくい……ということが言えそうです。
アルツハイマー病による変化に抵抗する力には、脳の形を保つ力と認知を保つ力で別のしくみが働いているようです。
単に病理のみをみるのではなく、上記のような“抵抗力”に着目することも、認知症の経過を改善するために重要であると思われました。
#アルツハイマー病
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