腸粘膜の透過性が高まることによる症状について、“リーキーガット症候群:Leaky Gut Syndrome”という言葉が使われることがあります。
今回は、かなり以前の論文(2013年)ですが、このリーキーガットに関連すると言われる過敏性腸症候群について、グルテン制限食(グルテンを含む小麦粉の摂取を中止)がどのように影響を与えるのか調べた内容をご紹介します。
過敏性腸症候群へのグルテンフリー食に関する対照比較試験
過敏性腸症候群に罹患している45人が対象となり、4週間、グルテンフリー食23人とグルテン含有食22人のグループに分けて症状の変化について調べました。
参加者について、腸粘膜の組織の透過性や炎症の背景となる遺伝的要因(HLA-DQ2 、HLA-DQ8等の遺伝子)についても調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①グルテン含有食のグループでは、グルテンフリー食に比較して、より多くの排便と腸の透過性亢進を認めていました。
②上記の傾向はHLA-DQ2/8陽性という遺伝的背景を持つ参加者のほうが、陰性の参加者より明らかでした。
つまり、“グルテンフリー食は過敏性症候群の症状やリーキーガット(腸の透過性亢進)を軽減する傾向があり、これは遺伝的な背景によっても影響を受ける”と言えそうです。
少数例の対照試験で、確かなことは言えないかもしれませんが、食事の内容によっても腸粘膜の透過性に影響が生じることが考えられました。
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