診療の中で、コンサータの効果を「注意力(集中力)を上げる」として説明することがあります。
これは実際に服用した患者さんからも聞かれる感想であり、有効だった場合の効果として大きく間違っていないと感じています。
確かにコンサータ(メチルフェニデート)はドーパミンの遊離を促進する働きがあるはずなのですが、そのドーパミンは実際どのような働きをするのでしょうか?
ドーパミンは労力よりは利益を強調することで認知的努力を促進する
18~43歳の男女(半数ずつ)50人を対象として、苦労する仕事(大きな労力)に対しては大きな利益、楽な仕事(小さな労力)に対しては小さな利益しか得られない課題を実施しました。
①そのままの状態 ②メチルフェニデートを服用した場合 ③低用量のスルピリド(線条体におけるドーパミン濃度を増加する作用がある)を服用した場合 以上の場合における脳内のドーパミン濃度の分かる検査を行いました。
結果として以下の内容が示されました。
①ドーパミン濃度が高い場合にはその仕事を行う苦労(コスト)よりは利益を重視して、難しい課題に取り組みやすい(これは元々ドーパミン濃度が高い場合も、薬剤によって高くなっている場合も同様)
②元々ドーパミン濃度が高い場合には新たに薬剤を服用するメリットはない(むしろややドーパミンの効用は低下する)
上記の内容から考えると、コンサータ(メチルフェニデート)を服用することの効果は、集中力を上げるというよりも、面倒な課題に対するモチベーションを高める点にあるのかもしれません。
また、元々ドーパミン濃度が通常レベルである個人に投与した場合には不利益が生じる可能性も考えられるため、投与の対象を正確に判断する必要があると考えられました。
#ADHD #発達障害
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