◎要約『(副作用はわずかだが)軽度認知障害に対するシロスタゾールの効果は明らかではない』
正常とは言えないが認知症と言うには記憶力低下を含めた認知障害が軽度である場合に“軽度認知障害”と診断されることがあります。
軽度認知障害から必ずしも認知症に移行するわけではなく、認知症の発症を予防することが重要と考えられています。
今回は、現在日本でも使用されている抗血栓薬であるシロスタゾール(商品名:プレタール)が軽度認知障害に有効か調べた研究をご紹介します。
Efficacy and Safety of Cilostazol in Mild Cognitive Impairment
A Randomized Clinical Trial
軽度認知障害の治療におけるシロスタゾールの有効性と安全性
偽薬を対照とした二重盲検試験(処方医も服薬する患者も実薬か、偽薬かを知らない方法)で、159人(平均75.6歳、41.5%が男性)が対象となりました。
96週までの経過で、認知機能検査(MMSE)の結果と副作用を調べ、シロスタゾールと偽薬との間に意味のある差異が生じるかを調べています。
結果として、以下の内容が示されました。
・主要な結果である認知機能検査(MMSE)で、シロスタゾールと偽薬との間に意味のある差異は生じていませんでした。
・偽薬で2人、シロスタゾールで3人が副作用のために試験を中止しました(そのうち1人はシロスタゾールの服用に関連した硬膜下血腫で、外科的な治療を受けました)。
軽度認知障害に対しては、対人交流を含めた活動性の向上が有効であると言われています。今後も、薬物療法の選択肢があるのか検証が期待される内容でした。
Comments