統合失調症(精神病性の疾患)について、環境的要因と遺伝的要因と相互に影響し合って発症するという説明があります。
今回は、精神的負担(ストレス)の大きなライフイベントによる精神衛生への影響が、統合失調症になりやすい要因(環境/遺伝の要因)によってどのように影響されるのか調べた研究をご紹介します。
統合失調症に関する遺伝的/環境要因的脆弱性の影響下でみる
ストレスと精神・身体的健康の関連性
6,646人(開始時平均44.26歳、3,672人が女性)が研究のの対象となりました。
ストレスの大きな出来事も、統合失調への“なり易さ”(Liability:環境要因的と遺伝要因的内容を含む)の両方とも、精神・身体の健康度を低下させていました。
“なり易さ”のうち、環境的要因(冬期出生や聴覚障害、いじめや麻薬使用の既往など多岐にわたる)のスコアは、ストレス→精神・身体的健康の関連に影響を与えていました。
しかし、“なり易さ”のうち、遺伝的要因(遺伝情報としての変異や欠損の影響)のスコアは、ストレス→精神・身体的健康の関連に影響を与えていませんでした。
つまり、統合失調症への“なり易さ”を準備する素因のうち、環境的要因の方が、ストレスの影響を左右する要因としては考えられる、ということになりそうです。
環境的要因を一括にするのも困難と思われ、どのように解釈してよいのか慎重に考えたい内容でした。
#統合失調症
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