◎要約:『トゥレット症候群の治療に関して、インターネットによる暴露反応妨害法と心理教育は効果に差が少ないが、暴露反応妨害法の方が医療コスト的に優れている可能性がある』
自分が意図していないのに突発的な音声や運動が複雑に生じてしまう疾患として“トゥレット症候群”が知られています。
今回は、トゥレット症候群の治療に関して、インターネットを介した暴露反応妨害(ある条件で起こる反応を抑制する方法)と心理教育(psychoeducation)とを比較した研究をご紹介します。
Internet-Delivered Exposure and Response Prevention for Pediatric Tourette Syndrome
12-Month Follow-Up of a Randomized Clinical Trial
インターネットを介した小児のトゥレット症候群に対する暴露反応妨害
スウェーデンにおける研究で、全国から募集されたトゥレット症候群(あるいは複雑性チック)に罹患した参加221人(平均12.1歳、69%男性)が対象となりました。
結果として、以下の内容が示されました。
・インターネットを介した暴露反応妨害法(Internet-Delivered Exposure and Response Prevention:以下、ERPと表記)と心理教育の両方で、12ヶ月までの経過に関してチック症状の程度は明らかな改善を示していませんでした。
・ERPと心理教育で、チック症状の改善について両者に大きな違いは認められませんでした(改善の反応率で比較して、ERP55% vs 心理教育50%)。
・ヘルスケア部門についての費用に対する効果を考えると、ERPの方が優れていると予測されました。
両者とも効果の点で微妙な結果なので、どちらかを強くすすめるモチベーションにはなりにくい結果であると思われました。
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