パーキンソン病とは、全身の動きが硬くなる(動かしにくくなる)疾患で、小刻み歩行(歩幅が極端に小刻みになってしまう歩行)や手の細かな震え等、特徴的な症状で有名です。
以前から、パーキンソン病にはうつ病などの精神疾患が合併しやすいことが指摘されてきましたが、今回は台湾の全国的な資料を用いて、パーキンソン病と自殺との関連について調べた研究をご紹介します。
パーキンソン病に罹患した患者における自殺のリスク
台湾全土の保険データ、疾患登録に関する資料を用いた研究で、パーキンソン病に罹患した35,891人(平均72.5歳、48.7%が女性)と比較として143,557人の健常者が対象となり、11年以上の経過を調べました。
結果として以下の内容が示されました。
①パーキンソン病に罹患した人では、(社会経済的状況や合併症の有無などについて調整した後でも)自殺のリスクが約2倍(ハザード比2.1倍)に上昇していました。
②うつ病等の精神疾患について調整した後でも、パーキンソン病罹患者の自殺は1.9倍となっていました。
つまり、うつ病などの合併がなくても、パーキンソン病はそのものが自殺のリスク因子となることが示されました。
運動障害や認知機能の低下が出現する多くの神経変性疾患では、自殺のリスクを考えながら、精神状態についても対応していくことが大切であると感じました。
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