うつ病における希死念慮を軽減する目的で、抗うつ薬に加えてリチウムが処方されることがあります。
今回は、双極性障害における自殺関連事象にリチウムやバルプロ酸ナトリウムの投与が有効かを調べた研究をご紹介します。
Suicidal Behavior During Lithium and Valproate Treatment: A Within-Individual 8-Year Prospective Study of 50,000 Patients With Bipolar Disorder
リチウムやバルプロ酸投与中の自殺企図
スウェーデンの全国的な疾患登録を用いた研究で、双極性障害に罹患した51,535人が対象となりました。
リチウムやバルプロ酸で治療されていた期間と治療されていない期間における自殺企図のリスクを比較することで、薬剤の効果を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
・リチウムが投与されている期間は、投与されていない期間に比較して、自殺企図のリスクが14%低下していました(リスクの目安としてハザード比0.86倍)。
・バルプロ酸が投与されている期間と投与されていない期間との差異は明らかではありませんでした(ハザード比1.02倍)。
・統計的な試算ではリチウムを投与した場合に防止できる自殺企図は、全体の12%であると推計されました。
要約:『双極性障害における自殺企図の予防にリチウムは一定の効果を示す』
リチウムの代わりに気分安定の効果を目的にバルプロ酸が選択されることもありますが、自殺企図の防止については両者で差があるようです。
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