例えば認知療法を行う場合、大人に行うのと、子どもに行うのとでは、言葉の使い方ややり方に違いがあるはず……言語能力に大きな差があるのだから、言葉を使ったセラピーを行う場合、相手の年齢により工夫するのは当然であると思われます。
一般的に認知行動療法を含めて、多くの心理療法が、やり方さえ工夫すれば幼児から実施可能であると言われますが、思考力を前提にしたセラピーの場合にはやはり限界があるのではないでしょうか?
今回は、非常に大雑把に心理療法を括って、子どもや大人での効果の違いを調べた分析(メタ・アナリシス)をご紹介します。
異なる年代でのうつ病に対する心理療法
分析には366のランダム化臨床試験(ランダムに治療群を振り分けて、効果を比較する方法)を含み、統合して36,072人が対象となりました。
結果として、子どもと思春期では効果が少なく(効果の大きさをみる指標であるg値が、子どもと大人で0.35 vs 0.75)、老年期では大きな差がありませんでした。
心理療法全体を大雑把に括った結果であり、それぞれの試験は非常に多様なものなので、それらを一つに統合した結果にどれくらい臨床的意味があるのか分からない点もあります。
しかし、主要な心理療法で、年代により大きく効果の大きさが異なる可能性を考えて、慎重に適応を判断し、行うときには(元の心理療法の型を大きく崩さない程度で)実施する年代に合わせた工夫が必要であると思われました。
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