認知症は進行性の病気だから、進むのをゆっくりにすることができても改善しないのではないか?……通常、答えはイエスかも知れません。
特に、認知機能の低下が出現した後の生活様式の変更では、そこから認知機能を改善できる可能性は少ないと考えるのが一般的です。
しかし、今回ご紹介する軽度の認知機能低下を対象とした研究をみると、必ずしもそうではなさそうです。
生活習慣上の危険因子と認知機能の経過
主観的に認知機能低下を自覚するようになったか、軽度認知障害に罹患した119人が対象となりました。
認知症のリスクに関する教育(地中海式ダイエット、運動習慣、認知機能を用いる習慣を含む)を行い、実践をサポートする57人のグループと、比較対象の62人に分けて、8週間にわたって経過を観察しました。
結果として、以下のような内容が示されました。
①認知症の程度を測る指標(Australian National University‐Alzheimer's Disease Risk Index : ANU‐ADRI)や認知機能を指標(Alzheimer's Disease Assessment Scale‐Cognitive: ADASの一部)において、明らかに対照より良い結果が得られました。
②生活上のリスクとなる因子を減らすよりは、予防的な因子を増やすほうが良い結果が得られていました。
つまり、地中海式ダイエットや運動習慣などを認知機能低下に気づいてから行っても、行わないよりは(8週間という比較的短い期間でも)良い結果が得られる可能性が高い、ということになります。
実際に差し迫った必要がないと生活習慣を改める気持ちにならないものかもしれませんが、今回の結果は、認知機能低下の自覚が出てからでも生活を改善するのに遅いということはないという希望の持てる内容でした。
#認知症 #生活改善
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